こんにちは。
うつ当事者で、統合失調症の家族をケアしていますピケといいます。
つい先日のこと。
統合失調症の家族が不安定になり、わたしはすっかり寝不足になりました。
ちょうどその日、わたしはしんどい出来事があって、心が疲れていました。
統合失調症の家族は、わたしの心の状態にすぐに影響を受けてしまいます。
なぜなら、彼女は、心の境界線が弱いからです。
今日は、心の境界線についてお話ししたいと思います。
目次
- 心の境界線(バウンダリー)
- バウンダリーは国境
- 赤ちゃんはバウンダリーがない
- 大人でもバウンダリーは課題である
- シンパシー
- シンパシーの強さとバウンダリーの弱さ
- バウンダリーの弱い人たち
- 健康な人でも、バウンダリーが弱くなることがある
- 苦しい人間関係には、バウンダリーの問題が隠れている
- バウンダリーをつくりたい
心の境界線(バウンダリー)
自分の心と相手の心の間には、見えない境界線があります。
この境界線のことを、心理学ではバウンダリーと呼びます。
「自分の心は自分のもの」
「相手の心は相手のもの」
頭で考えれば当たり前のことです。
けれども、感覚のレベルでは、とても難しいのです。
バウンダリーは国境
ひとの心は、国に例えることができます。
国境がしっかりしていないと、領域侵犯が起こりやすくなります。
平和が脅かされ、不安定になります。
反対に、自分が他の国にズカズカ入っていけば、相手の国と戦争になりかねません。
自分の国の国境線を守り、相手の国の国境線も侵さない。
お互の国境を尊重して交流すれば、国内は平和で、かつ、豊かに活気づきます。
心もこれと同じです。
心の健康には、自分と他人とのあいだの境界線を保つことが大切なのです。
心の境界線は、目に見えるように線を引けません。
だから難しいのです。
赤ちゃんはバウンダリーがない
生まれたての赤ちゃんたちは、新生児室で1人が泣き出すとみんな泣き出してしまいます。
自他は一体ですから、
隣りが泣いている=自分が泣いている
となってしまいます。
赤ちゃんの心はとても原初的なのです。
成長していくにつれて、自分の心が外の世界から分かれて、バウンダリーができていきます。
大人でもバウンダリーは課題である
わたしたちは、大人になるにつれて、バウンダリーがしっかりできていきます。
けれども、大人であっても、バウンダリーは揺るぎやすいものです。
もちろん、赤ちゃんとは違いますから、自分の心と相手の心が別であることは、頭ではわかっています。
たとえば、会社の上司が不機嫌でプリプリしているときに、自分も嫌な気持ちになることがあります。
これは、バウンダリーが揺らいでいるからかもしれません。
シンパシー
上司の不機嫌が自分に移ってしまうのは、シンパシーと呼ばれる現象です。
日本語では「同調」「共鳴」のことです。
赤ちゃんと同じような現象ですね。
一般的に「共感性が強い」というのは、「シンパシーが強いひと」を指しています。
シンパシーと似た用語に「エンパシー」というものがあります。
シンパシーは感情のみですが、エンパシーは、感情に思考が入ります。
とりあえず、今回はエンパシーのことは置いておきましょう。
シンパシーの強さとバウンダリーの弱さ
シンパシーが強いひとは、感受性が豊かで、繊細で、素直です。
優しい人情派で、魅力的な愛されキャラです。
想像性と創造性に富んでおり、人生は彩りに満ちてきます。
彼らはバウンダリーが弱いことが多いです。
バウンダリーが弱いために、相手の感情がそのまま流れ込んできます。それを自分の感情として感じることになります。
過度になると、本人がすごく苦しくなってしまいます。
バウンダリーの弱い人たち
子ども、高齢者
子どもはバウンダリー育成途中ですから、バウンダリーはまだ弱いです。
高齢者ではバウンダリーは弱くなりますが、個人差が大きいです。
メンタル不調の人たち
統合失調症、うつ、不安障害などの方々は、バウンダリーが弱く、心が傷つきやすいです。
回復していくうちに、バウンダリーは取り戻されていきます。
ですが、一度骨折した部位が弱くなるように、病前と同じ強さのバウンダリーには戻らずに、繊細さを持ち続けていく人もいるようです(わたしは多分そうです)。
気質的にバウンダリーが弱い人の場合は、バウンダリーを強くするには時間がかかります。
パーソナリティ障害がある人たち
認知と行動が偏っている人たちです(性格の偏りとか性格が悪いと誤解されていますが違います)。バウンダリーが弱いために混乱しやすく、自分も他人も傷つけてしまうことがあります。治療によって改善して、生きやすくなります。
発達障害(神経発達症)を持つ人たち
バウンダリーが弱い方もいるようです。
バウンダリーの弱さに加えて、定型な社会に合わせようと頑張ってストレスが重なり、メンタル不調をきたすことも多いです。
脳疾患、認知症の人たち
バウンダリーが弱くなります。
脳卒中、外傷による脳損傷では、一気にバウンダリーが失われることもあります。
トラウマのある人たち
克服しきれていない過去のトラウマがある人は、バウンダリーが弱くなっていることがあります。バウンダリーの弱さから、現在の人間関係で苦しみやすいです。
もともとすごく繊細な人たち
いわゆる「共感性が高い」と言われる人たちです。
HSPの方々も含まれると思います。
相手の感情を自分のものように痛烈に感じる場面が多く、生きづらいと思います。
メンタル不調になる方も多いようです。
健康な人でも、バウンダリーが弱くなることがある
バウンダリーは一部の人たちの問題ではありません
どんな人でも、バウンダリーが弱くなることがあります。
ストレスの強い環境
厳しすぎる指導やいじめのある学校生活、仕事が忙しすぎたり人間関係に問題のある職場など。
心身が疲れているとき
疲れていると、相手の感情がダイレクトに入ってきやすくなり、自分の感情と相手の感情の区別がますますつきにくくなります。
身体の病気、怪我のとき
精神的にも弱りますから、バウンダリーも弱くなります。
身近に、バウンダリーを侵害する人がいるとき
親、家族、友人、パートナー、仕事の上司や同僚など、身近に、平気でバウンダリーを乗り越えてくる人がいると、侵入を拒みにくいです。
繰り返し侵入されることで、バウンダリーは弱くなっていきます。
苦しい人間関係には、バウンダリーの問題が隠れている
残念ながら、世の中のほとんどの人たちは、バウンダリーに無自覚です。
ですから、バウンダリーの弱い人たちは、傷つけられることが多いです。
たとえば、モラハラの加害者は、バウンダリーを越えて、支配しようと領土を荒らしにきます。
いじめもバウンダリーの侵害です。
反対に、自分が相手のバウンダリーを侵してしまうこともあります。
幼いときは別として、大人になってからの過度な甘え、依存は、相手のバウンダリーを侵すことです。
「親しき仲にも礼儀あり」です。
自分のバウンダリーを守り、相手のバウンダリーも尊重できれば、人間関係の大抵のトラブルは避けることができるでしょう。
バウンダリーをつくりたい
わたしはおそらく、気質的にバウンダリーが弱いと思います。
そして、機能不全家族のなかで育ったので、バウンダリーがしっかりつくられる機会が持てませんでした。
大人になってうつが長引き、バウンダリーは弱いまま…
心が傷ついたり負担を強く感じたりすること多いのは、バウンダリーの弱さに原因があるのかもしれません。
自分の心を守って、平和な生活を送るために、バウンダリーが引けるようになりたいです。
次回は、バウンダリーを作るにはどうしたらいいのか について書きたいと思います。
読んでいただき、ありがとうございました。
はてなスターかグループにぽちっとしてくださると、草取りでブヨに20箇所刺されたピケが、落ち着けます〜。
宜しくお願いします。
痒くてどうにかなりそう…