ぴあけあら

双極症当事者(ピア)で、統合失調症の当事者家族(ケアラー)。日々の記録です。

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公認心理師をとったほうがいいか

 

 

臨床心理士が、心理カウンセリング業界を席巻してきて 30年余り。

ここにきて、潮目が変わってきたように見えます。

 

理由は、国家資格である公認心理師の出現です。

 

 

公認心理師の資格をとったほうがいいのか。

 

答えはYESです。

 

 

臨床心理士資格との関連も含めて、お話ししたいと思います。

 

カウンセラーを志望している方の参考になれば、嬉しいです。

 



目次

 



 

国家資格ができるまで

 

臨床心理士と公認心理師との関係を伝えるために、まずそれぞれの歴史をお話しします。

面倒だな、という場合は飛ばしてくださいね。

 

 

民間資格「臨床心理士」の誕生

 

心理職を国家資格にしようという動きは、半世紀ほど前から始まりました。

ですが、なかなか進みませんでした。

 

一番の要因は医師会との軋轢だったとの噂です。

 

心理職を医師の下に置きたい医師会に対して、心理職の独立性にこだわり譲らなかったためと言われています。

 

国家資格化がこう着しているなかで

 

「臨床心理士」という民間資格

 

が誕生しました。

 

日本心理臨床学会が認定する学会資格です。

 

その頃、学会の重鎮のK先生が文化庁長官になり、

臨床心理学というものが広く知られるようになりました。

 

阪神・淡路大震災、大阪の小学校襲撃事件もあって、臨床心理士の知名度も上がっていきました。

 

先生はたくさん本を書かれました。著名人との対談本もあります。

 

 

民間資格の乱立

 

臨床心理士に対抗して、各学会がそれぞれ独自の資格を立てていきました。

「認定心理士」「学校心理士」「臨床発達心理士」「産業カウンセラー」「精神対話士」など。

それぞれの学会や協会が定めた授業や講習を履修して、認定されるものです。

いずれも社会にはいまひとつ浸透せず、カウンセラーの就職にも繋がりませんでした。

 

 

 

公認心理師の誕生

 

2017年、国家資格として公認心理師ができました。

 

公認心理師は、医師の指示のもとで業務を行い、診療報酬がつきます。

 

公認心理師の業務は、臨床心理士とほぼ同じです。

 

臨床心理士も、理念はどうあれ、これまでだって、実際の現場では医師の指示のもとで動いていますからね。

 

大きな違いは、国家資格であるということと、診療報酬の点です。

 

こうして悲願であった、国家資格「公認心理師」ができたわけです。

 

 

 

公認心理師の現在

 

資格が出来てから6年。

今は、大学院を終えた人たちが受験し、ちょうど合格者が増えてきたタイミングです。

臨床心理士と比べてみました。

 

公認心理師メリット① 国家資格である

 

公認心理師は国家資格で、臨床心理士は民間資格です。

資格はまだできたばかりですが、これから社会にどんどん浸透していくことでしょう。

 

 

メリット②受験要件が広い

 

臨床心理士と同じように、年に一回の試験に合格しなければなりません。

 

公認心理師の受験ルートはいくつかあります。

 

ざっくり簡単に整理すると、

 

・養成カリキュラムのある大学院を出て受験(←主流)

・大学卒業後、実務経験を重ねて受験

 

この実務経験ルートが臨床心理士とは違うところです。

 

実務の場所は、どこでもいいわけではなく、省令で決まっています。

 

ですが、学校、病院、障害児者施設、生活支援施設、高齢者施設、矯正施設など、幅が広いです。

 

ただし、大学在学中に、指定の授業科目を履修しているのが前提条件です。

 

実は、これが結構厳しい条件でして…

自分が当てはまるかどうか、センターや出身大学に問い合わせる必要があります。

 

一方、臨床心理士の場合は、指定大学院からの受験ルートしかありません。

 

なので、公認心理師の方が、受験の門戸が開かれていると言えます。

 

 

メリット③更新制ではない

 

公認心理師は、更新制ではありません。

一回試験に合格すれば、ずっと資格を保持できます。

臨床心理士のような負担の大きい更新がありません。

 

 

 

メリット④医療機関での就職に有利である

 

公認心理師の最大のメリットは、診療報酬がつくということです。

 

ですので、今後、医療機関での心理職は公認心理師の独占になると思います。

医療機関でカウンセラーの仕事をしたいのであれば、絶対に公認心理師資格は必要になります。

 

 

メリット⑤ダブルライセンスを取りやすい

 

すでに別職種の国家資格を持ちながら、さらに公認心理師の資格をとる方々がいます。

ダブルライセンスと呼ばれる形です。

公認心理師は、受験要件が広いこと、更新の負担がないことで実現しやすいのでしょう。

 

わたしが実際に知っているダブルライセンスの方は、

 

看護師

作業療法士

精神保健福祉士

 

です。

 

彼らがダブルライセンスをとる理由は、

 

・新たに心理職につきたい

・心理学を学ぶことで仕事の幅を広げたい

・キャリアアップ、給料アップに繋げたい 

 

とのことです。

 

仕事をしながらの勉強で、大変なご苦労ですが、取得者は増えています。

今後は、トリプルライセンス(例えば、看護師と保健師と公認心理師)の猛者も出てくるかもしれません。

 

 

公認心理師のデメリット

 

まだ若い資格なので、資格の良し悪しはこれから出てくるでしょう。

 

今のところ考えられるデメリットを、いくつか挙げたいと思います。

 

・大学院ルートが主流なので、お金、時間、労力がかかる

・心理職自体が少ないので、収入・雇用には苦労する

 

これらは、臨床心理士と同じデメリットです。カウンセラーを選んだ時点でついてまわる問題でしょう。心理の仕事自体が、「労多くして功少なし」の世界ですからね。

 

そのほか、ダブルライセンスも含めて有資格者が増えていくことで、資格の位置付けがどうなっていくのか、という問題はあります。

ですが、国家資格ですから、資格の信頼性自体が揺らぐことはないでしょう。

 

 

カウンセラーになるのだったら、公認心理師はとった方がいいと思います。

 

 

公認心理師・臨床心理士のダブルホルダー

 

最近、多くなってきたのは、

 

公認心理師と臨床心理士、両方の資格を持つ人、

いわゆるダブルホルダーの存在です。

 

 

ダブルホルダーには二種類があります。

 

大学院修了からそのままダブルホルダーへ

 

公認心理師の養成大学院と、臨床心理士の指定校は重複している場合が多いです。

なので、

両方の受験要件を満たす大学・大学院を出て、そのまま公認心理師、臨床心理士を受験する

わけです。

 

ストレートでの受験スケジュールは、

大学院修了→公認心理師試験(夏)→臨床心理士試験(秋)

となります。

 

 

とはいえ、それぞれ出題傾向は違いますので、片方の試験対策ですむわけではありません。

特に、臨床心理士試験は、問題の癖が強くて独特ですから、過去問に目を通して慣れる必要があります。

 

出題傾向としては、

 

公認心理師:心理学全般の大学院レベル。臨床分野はまあ多いか。

臨床心理士:臨床分野に特化した大学院レベル。心理学全般の知識があることは前提。

 

と分析できます。

 

公認心理師試験は夏、臨床心理士試験は秋ですから、

 

まず公認心理師に向けて全般的な勉強をする。そして、臨床心理士の対策を上乗せしていく

 

というやり方で対応しているようです。

 

そんなわけで、大学・大学院からストレートのダブルホルダーたちがどんどん生まれてきているわけです。

 

 

元々の臨床心理士たちがダブルホルダーへ

 

すでに臨床心理士として活躍している人たちも、公認心理師を取るのが当たり前になってきています。

 

病院で仕事をしている方は、診療報酬が絡みますから、病院からとりなさいと言われるのかもしれません。

 

驚くことに、かなり高名な臨床心理士の方もダブルホルダーになっています。

例えば、臨床心理士協会の研修の講師をされている先生たちもどんどんダブルホルダーになっています。

「今更、取らなくてもいいんじゃない?」と部外者のわたしは思うのですが…

 

逆に考えると、

 

「それほど地位があって、仕事が安泰であっても、公認心理師を取らなければならない状況なのだ」

 

ということかもしれません。

 

 

このように、公認心理師と臨床心理士のダブルホルダーが増えてくると、片方の資格しかないシングルホルダーはどうなっていくのでしょうか…

 

 

予想されるカウンセラー業界の未来

 

公認心理師ができた時、おおかたの予想としては、

「遠い将来はさておき、業界がすぐには大きく変わらない」

というものでした。

 

まあいずれは、

 

・医療機関は、公認心理師がメイン。

・福祉、教育の分野は、臨床心理士。

 

というふうに、棲み分けされていくことになるだろうけど、「しばらくは変わらないよ」と言われていました。

 

ところが、勢力図が大きく変わってきています。

 

予想外の展開になったのは、ダブルホルダーの急増のせいだと思います。

特に、現役の臨床心理士がダブルホルダーになっていくスピードがあまりに速いです。

 

ここ数年で、あっという間に

 

「カウンセラーになりたければ、公認心理師と臨床心理士を両方とった方がいい」

 

という事態になってきた感じがします。

 

 

公認心理師と臨床心理士の行方

 

二つの資格が今後どのような位置づけになっていくか。あくまでもわたしの予想です。

 

まず、

 

公認心理師資格は、

「大学院レベルの心理学の専門性がある者」

 

ということになっていくのではないか、と思います。

 

理由としては、研修更新がないために、研鑽は各人に任されることになります。

なので、資格全体としての臨床レベルの高さとしては不安定要素があるという点です。

 

次に、

 

臨床心理士資格は、

「大学院レベル以上の臨床心理学の専門性がある者」

 

ということになっていくかもしれません。

指定大学院を出なければならず、研修による更新が永遠に続くために、高度な専門性が維持される可能性があるからです。

 

ダブルホルダーの意味

 

臨床分野の専門性がある資格ということで、臨床心理士資格があれば、カウンセラーとして十分ではないかという気もします。

公認心理師ができるまでは、ずっとそうでした。

 

しかしながら、臨床心理士は、国家資格ではないので、資格がなくなることはないにしても、先行きは不透明です。

 

そして、公認心理師は国家資格ですが、これから有資格者が増えたときに、

差別化を図るために臨床心理士資格の有無がきいてくる可能性

があります。

 

 

心理学全般の大学院レベル+臨床心理学の大学院レベル

 

があれば、鬼に金棒なのでしょう。

 

 

公認心理師と臨床心理士の権力争い

 

 

余談として、国家資格化への歴史もあってか、公認心理師界隈と臨床心理士界隈との間の歪み合いも起こっています。

あーヤダヤダ。

 

とはいっても、巷のカウンセラーたちは、そんな権力闘争は関係なく、両方が所属する団体を立ち上げたりとか、仲良く一緒に盛り上げていこうという雰囲気です。

 

でも、何が起こるかは誰にもわかりません。

 

 

 

カウンセラーたちはダブルホルダーを選ぶ

 

公認心理師はまだできたばかりで、業界の動きは読めません。

そういう中で、さまざまなリスクを考えたときに、ダブルホルダーを選択する人が多いということなのでしょう。

 

さらに、シビアなことをいうと、

採用する側は、ダブルホルダーを優先する可能性が高いです。

給料に差が出るのであれば話は別ですが、もし優秀なカウンセラーを採用したいのであれば、ダブルホルダーを選ぶのは自然なことでしょう。

 

 

まとめ。これからカウンセラーを目指す方へ

 

結論としては、

 

カウンセラーを目指すのであれば、

 

公認心理師と臨床心理士の両方をとったほうがいいでしょう。

 

 

これから大学を選ぼうという方は、

 

公認心理師の養成カリキュラムがあって、かつ、臨床心理士協会の指定校である大学・大学院

 

を選んでください。

 

すでに大学を卒業されている方は、ご自身が履修した科目が、公認心理師の受験要件を満たすものであれば、受験できる可能性が出てきます。

振り返られる科目もあります。

 

臨床心理士資格は無理でも、公認心理師の資格はあった方がいいです。

 

 

勉強は大変ですが、ぜひ挑戦してみてください。

 

www.jccpp.or.jp

 

読んでくださり、ありがとうございました。

 

 

がんばってください!