わたしはうつ歴20年です。
振り返ると、うつ病になる前に、すでに予兆がありました。それは「感覚(五感)の変化」でした。予兆だと知っていたら、うつはここまで長引かなかったかもしれない…という後悔があります。
皆さんが、わたしのように後悔することがないように。わたしの体験談をきっかけに、「うつになる直前に気づけた」とか、「うつになったけど、早くに対処したのでもう治りました」となったら、嬉しいです。
うつ当事者研究① 〜少しの気づきでうつを防ぐ〜
当事者研究とは
自分についてよく知る方法として、「当事者研究」という面白い手法があります。自分で自分を研究するわけです。北海道のべてるの家から始まりました。当事者研究のやり方を真似て、わたしのうつ病について研究しました。
当事者研究の生みの親、べてる↓
わたしのうつ病ヒストリー
オーバーワーク状態が続いていたところに、あるショックな出来事が起きました。
その日の夜から涙が止まらない、食べられない、眠れない という状態になりました。「これはうつ病だ」と思って、2日後にクリニックを受診しました。
よくなったり、悪くなったり、悪くなったり(悪くなったりが多いじゃん…)を繰り返して、20年間低空飛行です。
発症する直前の五感(過敏)
いま思えば、それまでとは刺激の感じ方が、なにか変でした。過敏になってました。味だけは鈍感でしたね。
・視覚 : 過敏。小さなほこりに気づく
・聴覚 : 過敏。少しの物音にイライラする。
・味覚 : 鈍感。料理の味つけが濃くなった。
・臭覚 : 普通。
・触覚 : 過敏。少しでも触られると不快だった。
発症直後(不明)
覚えていないです。それどころじゃなかった(気持ちが大変で)。
発症して1〜2ヵ月後(鈍感)
世界が遠くなりました。光景も、音も、匂いも、味も、すべての感覚が遠い。
・視覚 : ぼんやり。曇った分厚いガラスの向こうにぼんやり見える感じ(アクリル板よりうんと分厚い)。ひとの表情はよくわからない。
・聴覚 : よく聞こえない。音がくぐもって遠くに聞こえる。ひとが言っていることは理解できるが、遠くにいるように感じる。
・味 : 鈍感。インスタントラーメンとかお菓子とかの味はわかる。
・臭覚 : 鈍感。トイレのすごく不快なにおいはわかる。
・触覚 : 家族にハグされること、布団が皮膚に頬に触れる感じが心地よかった。
触感だけが残っていました。ずっと布団に包まれていたくて、毎日毎日一日中横になっていました。
発症3ヵ月(世界が遠い)
自分と世界の間に、分厚い透明な膜があることに気づきました。
膜はとても硬い。向こう側にいこうと思っても、身体が動かない、膜があるから行けない、という感じでした。
世界に触れられない孤独。とてもつらかった。
発症6ヵ月(膜が破裂)
ある日テレビを眺めているとき、突然、すべての感覚がクリアになりました。
自分を覆っていた膜が、目の前で破裂した感じ。なにがきっかけか、まったくわかりません。前触れもなかった。
世界が自分のもとに戻ってきたと感じました。
テレビははっきり見えるし、家族の言葉はストレートに聞こえるし。その日は刺激が強すぎて、つらく感じました。ですが、次の日には慣れました。
発症7ヵ月(ハッピーエンドではなかった)
膜が破裂して突然世界がビビッとになりました。
ですが、1ヵ月もすると、そこまで鮮やかじゃなくなりました。まえのように分厚くはありませんが、薄い膜があるような感じ。
これが正常な状態なのか、うつで変わってしまったのか、よくわかりません。
それから20年間(膜ができたり消えたり)
薄い膜ができたと思ったら、あまり気にならなくなったり、そうかと思えばまた薄い膜ができて…を繰り返しています。
20年後のいま(不調のサイン)
まえと比べて、五感がすべてが鈍くなっています。経年劣化なのか(老化)、長いうつのせいか、わからないです。疲れてくると、感覚が変わります。
・視覚 : 普段からよく見えないので(近視&老眼)、特に変化なし。
・聴覚 : 疲れてくると、物音が大きく不快に感じる。
・味覚 : 疲れてくると、味つけが濃くなる。
・臭覚 : 疲れていると、敏感になる。
・触覚 : 疲れてくると、敏感になる
疲れてくると、発症直前の状態と同じになります。これが不調サインです。すぐに、ゆっくりしたり、手抜きをして早く寝たりしないと、あとからつらくなってしまいます。何十回も失敗済み。
まとめ。感覚が変わったら、それはうつの始まりかも。
思い返してみると、わたしのうつは、発症前からすでに始まっていたと言えます。
物音がうるさく感じる とか、味つけが濃いと言われる という変化は、「あんた、変になってきたよ。休みなさいよ」という身体が教えてくれていたんですね。
それをスルーして突っ走って、20年後のいまがある。なんとかできなかったのか、自分…。
突っ走ろうとする自分を自分で止めるのはとても大変。
でも、知識と情報があれば、これはヤバいぞ と止まることができたかもしれない。
そうしたら、こんなに長くうつと付き合うことはなかったかもしれない。わたしと同じ後悔を、皆さんにはしてほしくない、と思っています。
わたしは、音、味、触覚に強く変化が出ます。ピアのひとでは、においが強く感じるようになる というケースもあります。どこに変化が出るのかは、人によって違うみたいですね。
皆さんに知っておいていただきたいこと
うつは、早め早めの対処が何より大事な病気です。
「早期発見早期対応」すごく大事!
ずるずるすれば、それなりになります。
それに、感覚の変化が起こる病気は、うつ以外にもあります(メンタル系のほか、脳疾患とか内臓系とかも)。コロナ感染も味覚、臭覚の異常が言われていましたね。
どれも早くなんとかしないと、大変なことになるリスクが高い(脅しではありませんよ。ほんと)。
なので、「これくらい平気、平気」とスルーしないでくださいね。おわり。