こんにちは。
うつ当事者で、統合失調症の家族をケアしているピケです。
と、自己紹介から始めてみたのですが、いかがでしょうか?
それはさておき。
今回は、インヴェガ(一般名:パリペリドン)のデポ剤の話です。デポ剤名はゼプリオンです。
目次
精神の薬について
精神に関する薬はひとまとめで「向精神薬」と呼ばれます。
向精神薬の種類
種類は次のようになっています。
・抗精神病薬・・・幻聴・妄想の治療
・抗うつ剤・・・うつの治療
・抗不安薬・・・不安・緊張を和らげる
・気分安定薬・・・躁鬱の気分の波の治療
・睡眠導入剤(当事者は「眠剤」と呼んだりする。なんかこなれた呼び方でかっこいいかも)
・抗痙攣(けいれん)剤・・・てんかんの治療
メンタル初心者さんは、抗不安薬からスタートすることが多い感じです。
頓服とかで。
気持ちが落ち込む、眠れない、とかで内科に行くと出されたりもします。
抗不安薬は気分安定薬と名前が似てますけど、気分安定薬は主に双極性障害に処方されたりするので、2つは違います。
上に、それぞれの薬の主な作用を書きましたけれど、一つの薬でも複数の作用があります。
例えば抗不安薬は鎮静作用があるので、眠剤のように眠くなりますし、わたしの家族は統合失調症ですけども、抗精神病薬のほかに気分安定薬も飲んでいます。
この病気だからこの薬、あの症状だからあれ、という単純なものではないわけです。
わたしの家族の処方薬
もうたくさん飲んでいるのです。
どんどん症状が出ていったときに、薬を付け加えたり外したり増やしたり、を繰り返して、こんなに多くなってしまった…というふうです。
「多種多剤」というやばいやつ。
単剤が推奨されていますから、時代に逆行中です。
とりあえず抗精神病薬だけ挙げますと、
ジプレキサ(オランザピン)
ガーッと陽性症状が出た急性期に、ガツンと効いてくれました。命の恩人的な薬。強い。口の中で溶けるタイプで見た目はラムネみたい。味は甘くて後味苦い。牛乳で飲むと味はマシらしい(ほんとは水で飲みましょう)。
↓ ジプレキサ情報
ロナセン
しっかり発症する前、ちょろちょろ幻聴が出ていたとき、錠剤を飲んでました。効いていたのかは疑問。でもなくすと幻聴が出るので、減らせないでいる。ロナセンテープといって、皮膚に貼るシール剤が発売されて、そちらに変えました。アトピーがあるので、皮膚のケアが大事。血中濃度が安定するせいか、効き目もよくなり、副作用も出にくい感じです。
↓ 動画なので見やすいです。うちは、わたしが背中に貼ってやっています。そうでないと自分で剥がしてしまうから。家族など介護者がいる場合に向いてます。
インヴェガ(パリペリドン)
家族にとっては新参者(最後に付け加えられた薬)。カプセル錠ですが、有名な市販の風邪薬(○ンタック)とは作用の仕方が全然違う。ちょっとずつちょっとずつ段階を経て溶けていく「徐放剤」という優れもの。うちは、減らすと意欲減退と幻聴が出るので減らせない。
↓ インヴェガについて。陰性症状には効き目が弱いらしい。うちには効く感じだけどな。
リスパダール(リスペリドン)
液剤。家族は頓服として出されています。駄菓子のチューペットのちっちゃい感じ。わたしも飲んだことがありますが(処方された)、苦甘い。チュッと口に入ります。
↓ リスパダール
リスパダールは頓服ですので、ここでは除外するとして。
毎日、ジプレキサ、ロナセン、インヴェガの3種類は服用しています。多い…
診断書の備考欄に「抗精神病薬 4種服用」と書かれています。そのおかげで障害年金二級も通ったのかもしれないのかなあ(素人の推測です)。
デポ剤のこと
インヴェガのデポ剤(ゼプリオン)を勧められた
主治医から「インヴェガのデポ剤を試してみます?」と提案がありました。
デポ剤とは筋肉注射で、時間をかけて液剤がゆっくり体内に吸収されていくようにします。
わたしの知人はエビリファイ(アリピプラゾール)のデポ剤を4週間に一回受けてます。
デポ剤のいいところ
①通院数が減る
②飲まなくていいのは、気持ちの負担がないし、仕事をしていたりするときに服用のタイミングをはからなくていい。
③拒薬(不調になると薬を飲まなくなる症状が出るひとが多い)になっても大丈夫
④怠薬(飲み忘れ)の心配がない
⑤血中濃度が安定するので、薬の作用がちゃんと出て、症状が楽になり、副作用も出にくくなる
うちの家族がデポ剤を考えた理由は、⑤でした。
薬の副作用について
副作用問題
発症して年月が経ってくると、症状そのものの苦しさだけではなくて、
副作用の辛さ
が目立ってきます。
抗精神病薬はとにかく副作用に悩まされます。それだけ強い薬なのだと思います。
ですが、飲まないわけにはいきません。
結局は、
薬を飲むことのベネフィット(症状が楽になる) と、デメリット(副作用)
のバランスをとりながら、やっていくしかないのです。
うちの家族の副作用
アカシジア
これ、体験しました。わたしも鬱に効くかもということで抗精神病薬を出されたことがあるのです。ほんとにほんとに辛かった。なんていうのか、身体の内部にぐわーっと何かがすごい勢いで這いずり回って、走り回ってる感覚。家族は「血管内で血液が沸騰しているかんじ」と言います。言い当ててますね。とにかく、うわああああ と叫び出したいくらい、ありえないすんごい不快感です。お薬の説明書に「ムズムズ感」と書いてありますが、そんなもんじゃありません。
眼球上転
「がんきゅうじょうてん」と呼びます。字の通り、眼球が上に上がって、白眼になってしまいます。瞬きもできなくなります。はたから見ていると、目の筋肉が攣っているように見えるのですが、神経系の発作と書いてあるものもあります。完全に白目をむいてしまうので、何も見えなくなり、とりあえずおさまるまで座らせるにも介助が必要になります。本人はすんごく目が痛いそうです。そりゃあ あれだけ攣ってたら痛いよね。
手足の震え
ロナセンを飲むようになってから出始めて、他の抗精神病薬が増えていくにつれて、ひどく震えるようになりました。パーキンソン様症状と言われます。食事の準備の時に汁物のお椀を運ぶことはできません(揺れるから汁がどんどんこぼれてしまう)。
長く飲んでいるので、これから、もっと深刻な副作用が出てくるかもしれません。出ないといいけど…
副作用と血中濃度
口から薬を飲むと、薬の血中濃度が上がっていく時間帯と、下がっていく時間帯が出てきます。
この二つの時間帯に副作用が出やすい、と言われています。
そして薬は、なるべく血中濃度が一定している方が、作用が安定して続きます。
血中濃度が安定
↓
薬がしっかり作用する&副作用が出にくい
↓
病状が良くなっていって、副作用問題も少なくなる
↓
病状が良くなるから薬が減る
この最後の「病状が良くなって薬を減らせる」部分はまあ、まだ先というか。おまけ的な感じです。長い目でね。
あくまでも本人の意思が大事ですから「やだ」と言ったらやらない ということで考えていました。
本人は 説明の動画を見たりして、
「デポ剤やってみたいです」
と言いました。
↓わたしが参考にした資料
↓ アニメの説明動画。認知機能が下がってる本人にも内容が理解できたようです。
デポ剤開始
まず最初は二週連続で打ちます。
デポ剤の1回目
本人の話によると、
看護師さんが30日分の使い捨てコンタクトレンズが入っているような(例えです)箱をを開けて、
その中にタッパー容器のようなものが入っていて、
それを開けると、注射器が一本だけ入っている。
注射器を逆さにして容器に針を刺して液を注入する という手順はなくて、最初からシリンジに入っているようです。
「腕の上のほう(たぶん三角筋?)に刺された。すごく痛かった。刺されてから終わるまでの時間が長い。コロナワクチンよりもインフルエンザワクチンよりも痛い。
その後五日間くらい、刺された部分は腫れて、触ると痛い。腕も上がりづらくて腕がだるい。
それ以外は特になし。薬の効果はよくわかんない」
エビリファイのデポ剤の人は、お尻に打ってるという話でしたが、家族の場合は腕でした。
デポ剤の2回目
1週間後に2回目を打ちました。
ゼプリオン100ml。
1回目は慣らし、2回目が本番みたいな感じでしょうか?(素人推測)
うまくいけば、3回目は、定常の4週間後になるはず。
本人談「2回目も痛かった。腕の腫れ、腕が上がりにくくてだるい。1回目と同じ感じ」
2回目が終わってからの経過
一週目・・・調子よい。
二週目・・・調子よい。アカシジアも眼球上転ない。
三週目・・・調子よい。アカシジアも眼球上転ない。
ここまで毎週通院していましたが、本人は調子が安定していました。
本人から「通院は2週間後にしたい」と言い、主治医も了承。
つまり次回の注射は5週間後にしましょう となりました。
「薬は4週間〜5週間は持続しますからね」のことでした。
四週目・・・四週目に入ってからすぐに幻聴さんが復活。希死念慮が出てきて、どんどんひどくなっていくので、病院に電話して指示を仰ぎました。次の診療までインヴェガの服用でしのぐようにとのことでした。残薬があってよかったです〜。
五週目・・・インヴェガの経口服用を戻した次の日に、幻聴さんはいなくなり、調子が戻りました。
四週目より早く不調になったのはなぜ?
四週目の初めで効果が切れたとするならば、
「ゼプリオンの効果が4週間持続しなかった??」
ということになりますよね。
主治医は「うーん。それはないんじゃないかなあ?調子の波と重なったのかもなあ?」と首をひねってしました。
もともと、家族には症状の波があるので、悪いときとたまたま重なったということでしょうかねえ
ただ…
あんなにわかりやすく崩れるかなあ〜?
と、はたから見ていて思います。どうなんでしょう。
「注射を100→150ml(最大)にすることはできる。
でも、それは回る成分自体が多くなるということであって、
持続期間は延びるわけではない」とのこと。
うーーーーん…
ということで、3回目の注射も、2回目と同量の100mlを打ちました。
3回目注射の本人談
「やっぱり痛かったー。しかも、前のときのしこりがまだ残ってるし。服が当たっても痛い」
次回の注射は4週間後です。
デポ剤はじめてまもない感想
そんなこんなで、まだ始めたばかりのゼプリオンですので、まだいいとも悪いとも言えません。
いまのところの感想といえば
一剤でも減ると、服薬の負担感は減る
すでにお話ししたように、精神の薬だけじゃなくて、アトピー、内科の薬もたくさん飲んでますので、一種類減ったところで、大してなんも変わらないでしょ?と思ってたのですが
違います。お薬がちょっとでも減ると、ほんとに気持ちが楽です。
診察時間は長くなる
いつものように診察を受けて、そのあと注射の準備のあいだ待って、打って、なので時間がかかって疲れます。
すごく痛い
相当痛いみたいです。その後も数日〜1週間は腫れや痛みが残る様子。コロナワクチンみたいな感じでしょうかね。痛みはそれよりひどいと言っています。家族は心気症的なところがあるので、痛みとか違和感に敏感なのかもしれません。
服を選ばないといけない
おしゃれさんだと、腕がすぐに出る服を着ていかないといけない問題があります。もし、お尻に打つことになれば、恥ずかしい問題もあるでしょうね…
コスト
うちは自立支援医療に入ってますので、一割負担で、4,750円です。
それプラス診察料、交通費。
特に、我が家はデポ剤以外に、他の薬も処方してもらってますし、本人の希望で診察は毎週。
なのでお得感はなく、むしろお高くなります。通院の回数も減るわけでもないし。
他に処方がなく、病状が安定していて、学校や仕事がある方は、4週間に一度デポ剤、というのは便利だろうなあと思います。
効果と副作用
これを一番期待して始めましたが、まだなんとも。家族はプラセボ効果が効きやすいので、効いているように思えてしまう可能性が高いです。もっと回数を重ねて様子を見ていこうと思います。
そんなこんなでのデポ剤開始
統合失調症は、どんどん新しい薬が出てきます。
それらの薬を追っかけて、果たして効くかどうか。
そうしているうちに、療養時間も長くなり、年齢も重なりますから、よくなっても「自然治癒じゃないの?」という説もあります。
けど、ダメ元でも、
それでたまたまうまくいって、症状が楽になって、生活が楽しくなったら、すごく嬉しい!
ですよね。
ただ、こんな情報もありましたので、気をつけてやりたいと思います。
↓ こちら
https://www.mhlw.go.jp/www1/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/313_1.pdf
毒をもって毒を制す。
薬は毒物ですからね。医師と相談して、慎重に進めていきたいです。
それでは、読んでいただいてありがとうございました。
よろしければまたおいでくださいね。お待ちしています♫